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想像を絶する飢えと寒さ、そして過酷な重労働―。 戦後ソ連により60万人の日本人が極寒のシベリアに抑留され、6万人が命を落とした「シベリア抑留」の史実に基づき、名家の長子として生を受けながら、遠くシベリアの地で非業の死を遂げた若きプリンスを描く。
「シベリア抑留」の現実を透徹に捉えつつも、大胆にフィクションを織り交ぜた四季オリジナルミュージカルの新時代を切り開く一級エンターテイメント。
累計上演回数487回、客動員数約39万人。

第二次世界大戦後、極寒のシベリア。
ソ連に抑留されていた九重秀隆は、苛酷な強制労働を課せられた上に、毎日、執拗な尋問を受けていた。ソ連は、日本を代表する名家の御曹司である秀隆を、スパイに仕立てようとしているのだ。疲れ果てながらも収容所仲間と話すうちに、彼はアメリカに留学していた青春時代に思いを馳せる。
一九三七年、アメリカ。
時まさに日華事変が始まり、東アジアにきな臭い匂いが立ち篭めている頃、秀隆はニューヨークで学生生活を謳歌していた。ゴルフ部主将の彼は、全米大学選手権で優勝し、その祝勝会で美しい東洋人女性、宋愛玲と出逢う。秀隆と愛玲は運命に導かれるまま、踊り始める。だが、お互いの素性を語ってはいけないルールのため、再会の約束をしただけでその日は別れてゆく。
次の日、秀隆は学友の神田と英国総領事館で開かれたジョージ六世の戴冠祝賀パーティーに出かけた。その席には、中国の蒋介石総統の夫人・宋美齢の姿もあり、日本の侵略批判と中国への支援を訴えていた。そこで秀隆は愛玲の姿を見つける。偶然の再会を喜び、二人の心は結びつく。が、そこで秀隆は日本の首相の御曹司、愛玲は敵国・中国の高官令嬢。しかも彼女には蒋介石と前妻との子蒋賢忠という許婚がいた。交際を知った周囲の人びとは二人を強く戒め、引き裂こうとする。
折しも愛玲の故郷・上海へ日本軍による攻撃が開始され、両国の全面戦争は決定的になる。二人はつかの間の別れの言葉を交わしただけで、帰国の途につかなければならなかった。
中国との戦争は泥沼化。日本に帰国して父・九重菊麿の首相秘書官となっていた秀隆は、和平工作のため、父の密命を受けて単身上海に乗り込む。アメリカの友人の助力で愛玲と再会を果たした秀隆は、両国の和平実現のために協力することを誓い合うと共に、愛玲に求婚する。許婚の存在を告白できずに苦悩する愛玲。
二人は、菊麿、蒋介石双方の親書による和平工作を開始する。一方、日本の軍部、憲兵隊は秀隆らの動きを察知し、親書奪還と和平工作阻止に動き出す。
秀隆が日本から持ち帰った菊麿の親書は、愛玲の父の協力で重慶にいる蒋介石へ無事渡る。そして愛玲に蒋介石の親書を託したのは許婚の賢忠だった。二人の男の愛に心引き裂かれながらも、上海に戻って来た愛玲。しかし、親書を受け取りに来た秀隆の眼前で、愛玲は仲間・劉玄の裏切りにより銃で撃たれる。和平実現を信じつつ、愛した男の腕の中で死んでいく愛玲。憲兵隊に取り囲まれた絶望の淵で、秀隆は彼女を抱きしめてつぶやく。「戦争はおわらない……。日本は敗れるだろう……」と。
軍部に反抗した秀隆は、懲罰召集で満州に配属され、敗戦直前に侵攻してきたソ連軍に捕らえられてシベリアに抑留されてしまう。
秀隆は収容所で、かつての学友・神田に再会する。彼はすでにソ連の協力者になることを受け入れており、秀隆にもサインをするように勧めるが、日本人としての誇りと、命をかけて国を救おうとした愛玲への想いが、秀隆に拒否を貫かせる。しかし、それは自らの命を危うくするものであった……。
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