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中国との戦いが泥沼化していた日本は、ついにアメリカ、イギリス、オランダと全面戦争に突入。 京大で学ぶ保科勲は、理想に燃えながら南方へと出征する。 軍政下のインドネシアを舞台に、「BC級戦犯」として処刑台に消えた若き青年の清冽なる生き様を描く。
実在する人物を伝記的に描く方法を取らず、史実に残された記録をフィクションとして再構成した、シリーズの集大成。
2004年東京初演で約4ヶ月のロングランを達成し、その翌年にも再演。京都、名古屋で上演し、社会的な注目を浴びる。

一九四一年(昭和十六年)、中国での戦線が膠着状態に陥っていたうえに、各国から経済封鎖を受けていた日本は、石油や労働力、兵力の確保のため南方への侵攻を開始した。表向きは、西洋列強の植民地支配からアジアを開放するという大義を掲げていた日本。そんな中、三高に学び、「アジアはひとつ」という岡倉天心の思想に心酔していた保科勲は、自ら志願し、陸軍第十六軍に配属されインドネシアへと赴くことになった。それまでインドネシアを支配しいていたオランダ軍を日本軍は瞬く間に追い払う。オランダ軍が制圧していた製油所で、保科は現地の女性リナと出会う。彼女は怪我を負い動けなくなったオランダ人を若い日本兵から命がけで救おうとしていた。その姿に心打たれた保科は傷ついたオランダ兵を助け、リナとの再開を約束して、別れた。
大本営本部の占領政策に対抗する首相の意向を密かに受け、第十六軍の司令官・島村は現地の有力者ニングラットと親交を深め、インドネシアの独立を前提に融和政策をとっていた。島村の通訳として同行した保科は、ニングラット邸で思いがけずリナと再びめぐり会う。彼女はニングラットの一人娘であり、亡き夫の意思を継いで独立運動に身を投じていた。ふたりは、歴史の大きな流れの中でお互いに自分の信じる道を歩もうと、南十字星に誓い合う
しかし、大東亜会議にインドネシアは招かれず、独立も承認されない。ニングラットは日本の首相と直接交渉に赴くため、保科に協力と要請した。しかし、その情報が漏れ、ニングラットは何者かに暗殺される。リナの心は悲しみに沈む。為す術もなく立ち尽くす保科。ふたりは別々の道を歩むことになる。
そして終戦。戦いに敗れた日本軍の兵士たちは、捕虜虐待の罪などで捕らえられ、戦犯裁判にかけられることになった。いわゆる「BC級戦犯裁判」である。きちんとした取調べもおこなわれず、戦勝国の報復感情のままに理不尽な裁きによって、死刑にされるものも多かった。保科もそのひとり。絞首刑の判決を受ける。処刑の前夜、リナは保科の牢に忍び込む。看守していたのは、製油所で命を助けたオランダ人だった。彼の配慮で束の間の再会を果たすふたりを見守るように、南十字星は輝いていた……。
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