
山口県中南部の周防灘に面する防府市は、奈良時代に周防国の国府、国分寺が置かれたことからその名がつけられたとされています。かつて三田尻とも呼ばれていたこの地は幕末の志士たちともゆかりが深く、坂本龍馬が土佐藩を脱藩して下関に向かう際に立ち寄っていますし、文久3年8月18日の政変において京都から追放されたいわゆる七卿落ちの際、三田尻御茶屋が七卿の滞在所として使用されました。また市内にある防府天満宮は日本で最初の天満宮として創建され、幕末のころには多くの志士たちが至誠の神として菅原道真公を崇拝し、信仰していたといわれます。さらに国の重要文化財に指定されている旧毛利家本邸や、東行こと高杉晋作の最期を看取った野村望東尼の墓所、長州藩諸隊の一つ“御楯隊”の調練場であった桑山招魂場など歴史好きにはたまらない見どころが多数点在しています。
明治2年、現在の防府市の初代市長ともいえる三田尻管掌となったのが、文の姉・寿の夫である楫取素彦です。その後、素彦は群馬県令や元老院議官、貴族院議員、宮中顧問官を歴任。男爵となり政界を引退した素彦は妻亡きあと後妻に迎えた文(美和子)とともに明治26年、三田尻を安住の地と定め移り住みます。
そして大正元年8月14日、この地で死去。84歳でした。生前の勲功に対し、素彦は没後に正二位に追叙され、勲一等瑞宝章を追贈されました。素彦の死から9年後の大正10年、美和子79歳で死去。幕末から明治、大正にわたる波乱に満ちた生涯にピリオドを打ちました。没後は防府市内の大楽寺にある夫・素彦のお墓の隣に手厚く葬られ、いまも静かに眠っています。
“ほうふ花燃ゆ大河ドラマ館”が開設されているルルサス防府は、2006年にオープンした複合商業施設。10の飲食店に加え、ファッションからジュエリー、雑貨、おみやげなどさまざまなショップが立ち並んでいます。ドラマ館では、ドラマ制作の裏側を体感できる記念撮影スポット、坂本龍馬や高杉晋作らが密議を交わしたとされる英雲荘のジオラマ展示、志士が三田尻の町を往来する様子を映像化した「志士闊歩の地・防府」CG再現など、大河ドラマの世界観を存分に体験していただけます。また、防府市ならではの特別企画として楫取素彦が塾長を務めた越氏塾の教えをいまに伝える孔子像や釜、さらに美和子(文)の直筆の手紙や久坂玄瑞からの手紙「涙袖帖」などのお宝も展示。よりディープに『花燃ゆ』の世界をお楽しみいただけることうけあいです。
- 【開催期間】
- 平成28年1月11日(月・祝)まで
- 【時間】
- 9:00~19:00
- 【所在地】
- 山口県防府市栄町1-5-1(ルルサス防府 2階多目的ホール)JR防府駅より徒歩2分
- 【入場料金】
- 大人500円・子ども(小・中学生)200円
- ※トワイライト割引、JAF会員割引など各種割引制度あり。
※障がい者手帳・療育手帳などを所持する方と介護者1名は、手帳の提示で無料となります。
※大河ドラマ館と防府天満宮歴史館、英雲荘、毛利博物館の4施設に入場できるお得な「ほうふ志士闊歩入場券」(大人1,000円・子ども500円)もございます。(ただし、毛利氏庭園へは別途入園料が必要ですのでご注意ください) - 【お問い合わせ先】
- ほうふ花燃ゆ大河ドラマ館入場券販売管理センター
TEL.080-2934-4335
お勧めは3つ。一つ目は、楫取素彦(当時は小田村伊之助)と文の出会いのシーンを再現。実は三田尻(現在の防府市)は素彦と文の終焉の地であるということから、ドラマ館では二人の出会いから始まっていくドラマ(物語)と終焉の地の防府市(地域)を結びつける構成としています。ドラマも終盤に入ってきますので、プレイバックとしてもお勧めです。
二つ目は、英雲荘のジオラマ展示です。志士闊歩の地・防府の英雲荘ですが、実は時代によって規模が大きく変遷しています。その中でも最大規模の時代をジオラマで再現しました。ジオラマの中にお気に入りの志士が隠れているかもしれません。是非探してみてください。
三つ目はゆかりの地解説タッチパネルです。市内の『花燃ゆ』ゆかりの地へのルートをわかりやすく解説します。大河ドラマ紀行も見ることができます。個人的には三田尻港にある潮彩市場の海鮮丼は食べごたえありでオススメです!
NHKエンタープライズ イベント・映像展開 チーフ・プロデューサー
鈴木 晃