「私は城がすきである。」 (『街道をゆく 大和・壺坂みち』より)
城が好きだった司馬遼太郎の作品には、さまざまな城が登場する。歴史に名を残す、名城の栄華と数奇な運命、そして城主たちの野望と挫折を、司馬作品のエッセンスとともに訪ね歩く。
■第1巻
大阪城 『城塞』 (大阪/大阪市)
天下人・豊臣秀吉が築き世界最大級といわれた巨大な大阪城は、築城わずか30年で豊臣氏とともに消え去る運命にあった。小説『城塞』(じょうさい)では、徳川方と豊臣方の最後の戦い、大坂の陣が描かれる。
小田原城 『箱根の坂』 (神奈川/小田原市)
戦国大名の魁(さきがけ)ともいえる北条早雲を描いた小説『箱根の坂』。5代約100年にわたり関東に覇権を誇った小田原北条氏の拠点・小田原城は、現在の小田原中心部が入るほどの規模だった。
備中松山城 『峠』 (岡山/高梁市)
山上にあり、天候によっては雲海に浮かぶような備中松山城。小説『峠』では越後長岡藩士・河井継之助がこの地で財政改革を行った陽明学者・山田方谷を訪れ大きな影響を受けた様子が描かれる。
熊本城 『翔ぶが如く』 (熊本/熊本市)
築城の名手・加藤清正の手になる熊本城。独特の反りを持つ力強い石垣や堅牢(けんろう)さから日本三大名城のひとつに数えられる。小説『翔ぶが如く』では西南戦争激戦の舞台として熊本城が登場する。
■第2巻
弘前城 『街道をゆく 北のまほろば』 (青森/弘前市)
江戸時代までに建てられ、今も現存する天守閣の中ではいちばん北にある弘前城。『街道をゆく 北のまほろば』で訪れた司馬遼太郎は、津軽に出現したこの城を、“息をのむ美しさ”と称えた。
名古屋城 『城塞』 (愛知/名古屋市)
「尾張名古屋は城でもつ」とうたわれる名古屋城。尾張徳川家の居城となるこの城は、豊臣氏を滅亡寸前まで追い詰めた徳川家康が、徳川の世が来たことを天下に告げる象徴的な城だった。
高知城 『功名が辻』 (高知/高知市)
内助の功「山内一豊の妻」で知られる千代とともに激動の時代を戦い、大名にのぼりつめた初代土佐藩主・山内一豊が描かれる小説『功名が辻』。一豊が築城した高知城には当時の建造物が数多く残る。
彦根城 『関ヶ原』 (滋賀/彦根市)
関ヶ原の勝利後、徳川家康の腹心・井伊直政と井伊家によって築城された彦根城。築城当時から現存する天守は国宝。天下を決した家康と直政の戦いぶりは小説『関ヶ原』の中で描かれる。
■第3巻
松山城 『坂の上の雲』 (愛媛/松山市)
司馬文学の最高峰とも言われる『坂の上の雲』。主人公の秋山真之、正岡子規らは松山城下で生まれた。松山城は豊臣秀吉配下で築城の名手でもあった武将・加藤嘉明が25年もかけて築城した城だ。
宇和島城 『花神』 (愛媛/宇和島市)
泰平の時代に建てられた宇和島城天守閣は、戦を想定しない造りが特徴。幕末期の藩主で、その先見性から四賢候と称えられた伊達宗城は小説『花神』の主人公・大村益次郎に蒸気船をつくらせた。
首里城 『街道をゆく 沖縄・先島への道』 (沖縄/那覇市)
琉球王国の宮殿だった首里城は、王国の礎を築いた尚真王の時代に完成した。司馬遼太郎が沖縄を訪れたのは本土復帰から間もないころだった (首里城などは世界文化遺産に登録)
姫路城 『播磨灘物語』 (兵庫/姫路市)
法隆寺とともに日本初の世界文化遺産に登録された姫路城。『播磨灘(はりまなだ)物語』の主人公・黒田官兵衛の城だった所に、西国攻略の拠点として豊臣秀吉が造った。現在の姿になったのは江戸時代以降のこと。
■第4巻
上田城 『関ヶ原』 (長野/上田市)
名将・真田幸村らを輩出した名門真田氏の拠点上田城は、徳川の大軍を2度も撃退した城だ。小説『関ヶ原』の中では、家名を譲るため親子・兄弟で東軍・西軍に分かれる決断の場面が描かれている。
高取城 『庄兵衛稲荷』『おお、大砲』 (奈良/高取市)
古い歴史を持つ山城・高取城は、豊臣秀吉の弟・秀長の家臣によって生まれ変わった。幕末には尊皇攘夷(そんのうじょうい)派によって襲われるが、城兵が撃退する様子が小説『庄兵衛稲荷』などに描かれている。
洲本城 『街道をゆく 明石海峡と淡路みち』 (兵庫/洲本市)
眼下に大阪湾を一望する淡路島の洲本城。江戸時代、一国一城令がありながら、山上の旧城と麓(ふもと)の新城が共存したのは珍しいことと、司馬遼太郎は『街道をゆく』の中で指摘した。
丸亀城 『竜馬がゆく』 (香川/丸亀市)
金比羅大権現に参拝する人々の船でにぎわった丸亀。坂本竜馬が旅の途中で立ち寄る様子が小説『竜馬がゆく』で描かれている。4段階に積み重ねられた丸亀城の石垣は、合計約60メートルと日本一の高さだ。
■第5巻
岡崎城 『覇王の家』 (愛知/岡崎市)
小説『覇王の家』は、徳川家康が岡崎城で生まれるところから始まる。家康が居城としていたころは天守も石垣もない簡素な城だったが、後に“神君生の城”として別格視されることになる。
岐阜城 『国盗り物語』 (岐阜/岐阜市)
戦国時代に下克上を体現した斎藤道三と、彼の娘婿となった織田信長。小説『国盗り物語』では2人の数奇な生涯が描かれる。道三が金華山山頂に築いた岐阜城は、2人の夢が交錯した城だった。
島原城 『街道をゆく 島原・天草の諸道』 (長崎/島原市)
5層5階の壮麗な天守閣を持つ島原城。その築城の負担と重税が島原の乱の一員になったともいう。司馬遼太郎は『街道をゆく』の取材でこの地を訪れ、島原城の構造・性格もつぶさに分析した。
松前城 『菜の花の沖』 (北海道/松前市)
小説『菜の花の沖』の主人公で北方の航路を開拓した北前船船頭・高田屋嘉兵衛。作品の舞台にもなる松前城や城下町の様子を紹介しながら、嘉兵衛が抱いた大望に思いをはせる。
■第6巻
仙台城 『馬土少年過ぐ』 (宮城/仙台市)
独眼竜の異名で恐れられた奥州の戦国武将・伊達政宗。天下を望んで果たせなかった彼の波乱の生涯を描いた小説『馬上少年過ぐ』とともに、政宗が築いた要害・仙台城のいまを紹介する。
長浜城 『新史 太閤記』 (滋賀/長浜市)
豊臣秀吉の出世の足場となった長浜城。小説『新史 太閤記(たいこうき)』には、初めての城と町づくりに情熱を燃やす秀吉が描かれている。琵琶湖に面した城跡を歩きながら、秀吉という人物の面白さを探る
郡山城 『街道をゆく 芸備の道』 (広島/安芸高田市)
西国最大級の山城で、毛利元就の居城だった郡山城の遺構は、現在も山中の広範囲に残る。司馬遼太郎は『街道をゆく』の取材で城跡を訪れ、かつての巨大な要塞(ようさい)への思いをめぐらせた。
中津城 『播磨灘物語』 (大分/中津市)
秀吉の名参謀として知られる黒田官兵衛が築いた中津城。彼の半生を描いた小説が『播磨灘(はりまなだ)物語』だ。川に挟まれた地の利を生かした巧妙な城づくりを紹介し、中津城と官兵衛の魅力を伝える。
■第7巻
清洲城 『国盗り物語』 (愛知/清須市)
織田信長が居城とした清洲城は、小説『国盗り物語』の舞台のひとつ。本能寺の変で信長亡き後も城とその城下町は健在だったが、慶長15年(1610)に廃城、城下町はそっくり名古屋城に移転する。
浜松城 『覇王の家』 (静岡/浜松市)
“家康の出世城”として名高い浜松城。小説『覇王の家』で描かれているように、三方ヶ原の戦いで大敗した徳川家康が命からがら逃げ帰った城でもある。この城が後の天下人・家康を育てたのだ。
丸岡城 『街道を行く 越前の諸道』 (福井/坂井市)
城の完成は天正4年(1576)。城主は目まぐるしく代わったが、天守閣は変わらない。司馬遼太郎は『街道を行く 越前の諸道』の仏教文化をめぐる旅で、日本最古の現存天守を持つ丸山城を訪れた
佐賀城 『歳月』『アームストロング砲』 (佐賀/佐賀市)
幕末の佐賀藩主・鍋島閑叟(かんそう)は、洋式軍隊を整備するなど近代化を図り、諸藩から注目された。小説『歳月』『アームストロング砲』から、幕末~明治初期の激動を見つめてきた佐賀城を紹介する。
■第8巻
五稜郭 『燃えよ剣』 (北海道/函館市)
戊辰(ぼしん)戦争最後の激戦地となった五稜郭(ごりょうかく)は、日本初の西洋式の要塞(ようさい)だった明治2年(1869)、ここで戦死した新撰組副長・土方歳三を描いた小説『燃えよ剣』から、歳三最後の日々を追う。
平戸城 『韃靼疾風録』 (長崎/平戸市)
平戸の海を望む平戸城は、築城者自らが城に火を放つという数奇な歴史をもつ。藩命で中国大陸に渡った平戸の若者の姿をつづった小説『韃靼疾風録』(だったんしっぷうろく)の中でもその特異さが描かれている。
会津若松城 『王城の護衛者』 (福島/会津若松市)
小説『王城の護衛者』は、幕末の会津藩主・松平容保が主人公。戊辰戦争での悲愴な会津若松城攻防戦につながる経緯が描かれている。その舞台を訪ね、容保と会津藩の運命に思いをはせる。
江戸城 『箱根の坂』『最後の将軍‐徳川慶喜‐』 (東京/千代田区市)
現在の皇居、江戸城。最初に城を築いたのは室町時代の武将・太田道灌だった。築城時の姿と、徳川慶喜の苦悩の舞台となった江戸城の姿を小説『箱根の坂』と『最後の将軍』から紹介。
語り:広瀬修子
朗読:長谷川勝彦
テーマ曲:「歳月如夢」
作曲:内池秀和
演奏:チェン・ミン
●BOX購入特典:解説書(オールカラー・本文68ページ)
各城の沿革・解説、司馬作品との関わり、見学ガイドを掲載。
○2007年~2008年放送
*計480分収録/画面サイズ16:9LB
*制作協力:司馬遼太郎記念財団
©2008「司馬遼太郎と城を歩く」製作委員会
※ブラウザ表示の都合上、「遼」の字を使用しています。正しくは「しんにょう」の点が2つです。
城が好きだった司馬遼太郎の作品には、さまざまな城が登場する。歴史に名を残す、名城の栄華と数奇な運命、そして城主たちの野望と挫折を、司馬作品のエッセンスとともに訪ね歩く。
■第1巻
大阪城 『城塞』 (大阪/大阪市)
天下人・豊臣秀吉が築き世界最大級といわれた巨大な大阪城は、築城わずか30年で豊臣氏とともに消え去る運命にあった。小説『城塞』(じょうさい)では、徳川方と豊臣方の最後の戦い、大坂の陣が描かれる。
小田原城 『箱根の坂』 (神奈川/小田原市)
戦国大名の魁(さきがけ)ともいえる北条早雲を描いた小説『箱根の坂』。5代約100年にわたり関東に覇権を誇った小田原北条氏の拠点・小田原城は、現在の小田原中心部が入るほどの規模だった。
備中松山城 『峠』 (岡山/高梁市)
山上にあり、天候によっては雲海に浮かぶような備中松山城。小説『峠』では越後長岡藩士・河井継之助がこの地で財政改革を行った陽明学者・山田方谷を訪れ大きな影響を受けた様子が描かれる。
熊本城 『翔ぶが如く』 (熊本/熊本市)
築城の名手・加藤清正の手になる熊本城。独特の反りを持つ力強い石垣や堅牢(けんろう)さから日本三大名城のひとつに数えられる。小説『翔ぶが如く』では西南戦争激戦の舞台として熊本城が登場する。
■第2巻
弘前城 『街道をゆく 北のまほろば』 (青森/弘前市)
江戸時代までに建てられ、今も現存する天守閣の中ではいちばん北にある弘前城。『街道をゆく 北のまほろば』で訪れた司馬遼太郎は、津軽に出現したこの城を、“息をのむ美しさ”と称えた。
名古屋城 『城塞』 (愛知/名古屋市)
「尾張名古屋は城でもつ」とうたわれる名古屋城。尾張徳川家の居城となるこの城は、豊臣氏を滅亡寸前まで追い詰めた徳川家康が、徳川の世が来たことを天下に告げる象徴的な城だった。
高知城 『功名が辻』 (高知/高知市)
内助の功「山内一豊の妻」で知られる千代とともに激動の時代を戦い、大名にのぼりつめた初代土佐藩主・山内一豊が描かれる小説『功名が辻』。一豊が築城した高知城には当時の建造物が数多く残る。
彦根城 『関ヶ原』 (滋賀/彦根市)
関ヶ原の勝利後、徳川家康の腹心・井伊直政と井伊家によって築城された彦根城。築城当時から現存する天守は国宝。天下を決した家康と直政の戦いぶりは小説『関ヶ原』の中で描かれる。
■第3巻
松山城 『坂の上の雲』 (愛媛/松山市)
司馬文学の最高峰とも言われる『坂の上の雲』。主人公の秋山真之、正岡子規らは松山城下で生まれた。松山城は豊臣秀吉配下で築城の名手でもあった武将・加藤嘉明が25年もかけて築城した城だ。
宇和島城 『花神』 (愛媛/宇和島市)
泰平の時代に建てられた宇和島城天守閣は、戦を想定しない造りが特徴。幕末期の藩主で、その先見性から四賢候と称えられた伊達宗城は小説『花神』の主人公・大村益次郎に蒸気船をつくらせた。
首里城 『街道をゆく 沖縄・先島への道』 (沖縄/那覇市)
琉球王国の宮殿だった首里城は、王国の礎を築いた尚真王の時代に完成した。司馬遼太郎が沖縄を訪れたのは本土復帰から間もないころだった (首里城などは世界文化遺産に登録)
姫路城 『播磨灘物語』 (兵庫/姫路市)
法隆寺とともに日本初の世界文化遺産に登録された姫路城。『播磨灘(はりまなだ)物語』の主人公・黒田官兵衛の城だった所に、西国攻略の拠点として豊臣秀吉が造った。現在の姿になったのは江戸時代以降のこと。
■第4巻
上田城 『関ヶ原』 (長野/上田市)
名将・真田幸村らを輩出した名門真田氏の拠点上田城は、徳川の大軍を2度も撃退した城だ。小説『関ヶ原』の中では、家名を譲るため親子・兄弟で東軍・西軍に分かれる決断の場面が描かれている。
高取城 『庄兵衛稲荷』『おお、大砲』 (奈良/高取市)
古い歴史を持つ山城・高取城は、豊臣秀吉の弟・秀長の家臣によって生まれ変わった。幕末には尊皇攘夷(そんのうじょうい)派によって襲われるが、城兵が撃退する様子が小説『庄兵衛稲荷』などに描かれている。
洲本城 『街道をゆく 明石海峡と淡路みち』 (兵庫/洲本市)
眼下に大阪湾を一望する淡路島の洲本城。江戸時代、一国一城令がありながら、山上の旧城と麓(ふもと)の新城が共存したのは珍しいことと、司馬遼太郎は『街道をゆく』の中で指摘した。
丸亀城 『竜馬がゆく』 (香川/丸亀市)
金比羅大権現に参拝する人々の船でにぎわった丸亀。坂本竜馬が旅の途中で立ち寄る様子が小説『竜馬がゆく』で描かれている。4段階に積み重ねられた丸亀城の石垣は、合計約60メートルと日本一の高さだ。
■第5巻
岡崎城 『覇王の家』 (愛知/岡崎市)
小説『覇王の家』は、徳川家康が岡崎城で生まれるところから始まる。家康が居城としていたころは天守も石垣もない簡素な城だったが、後に“神君生の城”として別格視されることになる。
岐阜城 『国盗り物語』 (岐阜/岐阜市)
戦国時代に下克上を体現した斎藤道三と、彼の娘婿となった織田信長。小説『国盗り物語』では2人の数奇な生涯が描かれる。道三が金華山山頂に築いた岐阜城は、2人の夢が交錯した城だった。
島原城 『街道をゆく 島原・天草の諸道』 (長崎/島原市)
5層5階の壮麗な天守閣を持つ島原城。その築城の負担と重税が島原の乱の一員になったともいう。司馬遼太郎は『街道をゆく』の取材でこの地を訪れ、島原城の構造・性格もつぶさに分析した。
松前城 『菜の花の沖』 (北海道/松前市)
小説『菜の花の沖』の主人公で北方の航路を開拓した北前船船頭・高田屋嘉兵衛。作品の舞台にもなる松前城や城下町の様子を紹介しながら、嘉兵衛が抱いた大望に思いをはせる。
■第6巻
仙台城 『馬土少年過ぐ』 (宮城/仙台市)
独眼竜の異名で恐れられた奥州の戦国武将・伊達政宗。天下を望んで果たせなかった彼の波乱の生涯を描いた小説『馬上少年過ぐ』とともに、政宗が築いた要害・仙台城のいまを紹介する。
長浜城 『新史 太閤記』 (滋賀/長浜市)
豊臣秀吉の出世の足場となった長浜城。小説『新史 太閤記(たいこうき)』には、初めての城と町づくりに情熱を燃やす秀吉が描かれている。琵琶湖に面した城跡を歩きながら、秀吉という人物の面白さを探る
郡山城 『街道をゆく 芸備の道』 (広島/安芸高田市)
西国最大級の山城で、毛利元就の居城だった郡山城の遺構は、現在も山中の広範囲に残る。司馬遼太郎は『街道をゆく』の取材で城跡を訪れ、かつての巨大な要塞(ようさい)への思いをめぐらせた。
中津城 『播磨灘物語』 (大分/中津市)
秀吉の名参謀として知られる黒田官兵衛が築いた中津城。彼の半生を描いた小説が『播磨灘(はりまなだ)物語』だ。川に挟まれた地の利を生かした巧妙な城づくりを紹介し、中津城と官兵衛の魅力を伝える。
■第7巻
清洲城 『国盗り物語』 (愛知/清須市)
織田信長が居城とした清洲城は、小説『国盗り物語』の舞台のひとつ。本能寺の変で信長亡き後も城とその城下町は健在だったが、慶長15年(1610)に廃城、城下町はそっくり名古屋城に移転する。
浜松城 『覇王の家』 (静岡/浜松市)
“家康の出世城”として名高い浜松城。小説『覇王の家』で描かれているように、三方ヶ原の戦いで大敗した徳川家康が命からがら逃げ帰った城でもある。この城が後の天下人・家康を育てたのだ。
丸岡城 『街道を行く 越前の諸道』 (福井/坂井市)
城の完成は天正4年(1576)。城主は目まぐるしく代わったが、天守閣は変わらない。司馬遼太郎は『街道を行く 越前の諸道』の仏教文化をめぐる旅で、日本最古の現存天守を持つ丸山城を訪れた
佐賀城 『歳月』『アームストロング砲』 (佐賀/佐賀市)
幕末の佐賀藩主・鍋島閑叟(かんそう)は、洋式軍隊を整備するなど近代化を図り、諸藩から注目された。小説『歳月』『アームストロング砲』から、幕末~明治初期の激動を見つめてきた佐賀城を紹介する。
■第8巻
五稜郭 『燃えよ剣』 (北海道/函館市)
戊辰(ぼしん)戦争最後の激戦地となった五稜郭(ごりょうかく)は、日本初の西洋式の要塞(ようさい)だった明治2年(1869)、ここで戦死した新撰組副長・土方歳三を描いた小説『燃えよ剣』から、歳三最後の日々を追う。
平戸城 『韃靼疾風録』 (長崎/平戸市)
平戸の海を望む平戸城は、築城者自らが城に火を放つという数奇な歴史をもつ。藩命で中国大陸に渡った平戸の若者の姿をつづった小説『韃靼疾風録』(だったんしっぷうろく)の中でもその特異さが描かれている。
会津若松城 『王城の護衛者』 (福島/会津若松市)
小説『王城の護衛者』は、幕末の会津藩主・松平容保が主人公。戊辰戦争での悲愴な会津若松城攻防戦につながる経緯が描かれている。その舞台を訪ね、容保と会津藩の運命に思いをはせる。
江戸城 『箱根の坂』『最後の将軍‐徳川慶喜‐』 (東京/千代田区市)
現在の皇居、江戸城。最初に城を築いたのは室町時代の武将・太田道灌だった。築城時の姿と、徳川慶喜の苦悩の舞台となった江戸城の姿を小説『箱根の坂』と『最後の将軍』から紹介。
語り:広瀬修子
朗読:長谷川勝彦
テーマ曲:「歳月如夢」
作曲:内池秀和
演奏:チェン・ミン
●BOX購入特典:解説書(オールカラー・本文68ページ)
各城の沿革・解説、司馬作品との関わり、見学ガイドを掲載。
○2007年~2008年放送
*計480分収録/画面サイズ16:9LB
*制作協力:司馬遼太郎記念財団
©2008「司馬遼太郎と城を歩く」製作委員会
※ブラウザ表示の都合上、「遼」の字を使用しています。正しくは「しんにょう」の点が2つです。